発酵(はっこう)させてつくる「なれずし」の起源(きげん)については、東南アジアの山の中に住む人々の保存食(ほぞんしょく)だという説(せつ)や、タイやミャンマーの平地に住む人々が、雨季(うき)に取れた魚を乾季(かんき)まで保存(ほぞん)しておく方法(ほうほう)だという説などがあります。これらの地方では、魚を保存(ほぞん)するために米の中で発酵(はっこう)させる方法がよく使われます。
すしは、稲作(いなさく)と同じように、中国南部から九州を通って日本に入ってきたと考えられています。奈良時代の文書にすしのことが書いてあるので、その頃(ころ)にはすしが食べられていたことがわかります。早ければ縄文(じょうもん)時代の終わり頃に、すしは日本に入ってきていたのかもしれません。

中国では、90年代から「なれずし」が食べられていました。中国の「なれずし」は、米だけではなく、お酒を使い、香辛料(こうしんりょう)もいっしょにつけこみました。発酵促進(はっこうそくしん)のために、麹(こうじ)も使われました。
中国では1200年代には「なれずし」は食べられなくなり、現在(げんざい)は、漢民族(かんみんぞく)いがいの少数民族のみに伝(つた)わる食べ物となっています。
韓国で「なれずし」が文献(ぶんけん)に登場するのは、1200年代になってからです。現在では「シッヘ<シッケ>」と呼ばれています。「シッへ」は東海岸の地域(ちいき)のみで作られ、他の地域ではあまり知られていません。
「シッヘ」のつけこみには、米ではなく、粟(あわ)を多く使います。主な材料(ざいりょう)は麦芽(ばくが)の粉、魚、大根の千切りなどの野菜(やさい)です。麦芽を入れるのは発酵促進のためですが、これは韓国だけに見られる特徴(とくちょう)です。1700年代に唐辛子(とうがらし)が日本からつ伝わると、唐辛子も入れられるようになりました。
日本の北陸(ほくりく)、東北地方には、「いずし」という、米に麹と野菜を入れたすしがありますが、これは「シッへ」が伝わったものと考えられています。
南アジアにも、「なれずし」があります。南アジアの稲(いね)は、水稲(みずいね)といって、水の中で育てる品種(ひんしゅ)です。人々は、この水稲の水田や、水田につながる小川の中で、魚をとっていました。そして、魚の取れない季節(きせつ)にそなえて、魚を発酵(はっこう)させた保存食(ほぞんしょく)を開発しました。これが「なれずし」の始まりと考えられています。やがて、「なれずし」は中国に伝わり、さらに、日本にももたらされました。
ちなみにこの「すし」は、タイでは「パー・ソム」、ラオスでは「ソン・パ」といわれます。これは2つとも、「すっぱい魚」という意味です。