育てよう

カイコを育てる注意点

まず、カイコを育てるときには、つぎのことに注意しましょう。

・カイコはきれい好き

カイコを育てるとき、いちばん大切なことは掃除(そうじ)です。脱皮(だっぴ)のあとや糞(ふん)をそのままにしておくと、よくありません。こまめに掃除をして、きれいな紙の上で育てましょう。

掃除のしかたは…?

今回は、カイコを育てる箱に紙をしいて、その上にラップをしました。

ラップの上にカイコをのせ、えさをあたえます。カイコの糞が多くなってきたら、新しいラップに新しいえさをおき、そこへカイコをうつします。そして、古いラップごと捨(す)てます。こうすると、掃除もらくで、箱もきれいなまま、なんども使えます。


カイちゃん病気

・カイコの病気

カイコは生きものですから、病気にかかることもあります。カイコの病気についても勉強しておきましょう。

カイコの病気には、ウイルス、菌(きん)、原虫、昆虫(こんちゅう)やダニの寄生(きせい)などによるものがあります。

  1. ウイルスによるカイコの病気

    • 核多角体病(かくたかくたいびょう)…白いうみのような体液(たいえき)を出して歩き回り、ついには死ぬ。幼虫(ようちゅう)だけでなく、蛹(さなぎ)や成虫(せいちゅう)である蛾(が)になってからも発病することがある。
    • 細胞質多角体病(さいぼうしつたかくたいびょう)…食欲(しょくよく)がなくなり、発育がおくれ、動きがにぶくなる。そして、白いフンを出すようになり、ついには死ぬ。
    • 伝染性軟化病(でんせんせいなんかびょう)…カイコは食欲がなくなり、下痢(げり)などの症状(しょうじょう)や体がすける軟化(なんか)の症状があらわれ、死んでしまう。
  2. 菌による病気

    • 硬化病(こうかびょう)…糸状菌がカイコの体に入りこんで起こる病気。この菌にかかると、カイコの皮ふに暗褐色(あんかっしょく)の斑点(はんてん)ができる。食欲がなくなったり、動きが悪くなったりする症状があらわれ、死んでしまう。死体は硬(かた)くなる。
    • こうじかび病…カイコの小さい時期にかかりやすい病気。こうじかびが体の中に入りこむと食欲がなくなり、発育が悪くなると翌日(よくじつ)には死んでしまう。
  3. 原虫による病気

    • 微粒子病(びりゅうしびょう)…原生動物の微胞子虫による病気。この病気は、卵、幼虫、成虫のどの時期でも発病する。成虫である蛾(が)から卵に伝染(でんせん)するという特ちょうがある。伝染した卵は、卵のうちに死んでしまうものと、幼虫の間に死んでしまうものがある。

      この病気になったカイコは発育がおそくなり、食欲がなくなって、「眠(みん)」の前や脱皮のあとに死んでしまうことが多い。5齢幼虫や蛹、成虫のときに発病すると、たくさんの黒いはん点が皮ふにできることがある。

      この病気をふせぐために、卵をくれる農協(のうきょう)や蚕種(さんしゅ)業者さんは、母蛾検査というきびしいチェックをしている。

  4. 寄生による病気

    • きょうそ病…カイコノウジバエが、カイコの5齢幼虫に寄生する。このハエは、4〜5月に羽化(うか)して、桑などの葉の裏に卵をうみつける。カイコが桑の葉を食べて、この卵をからだの中にとりこむと、ここでハエがふ化して、カイコのからだから栄養(えいよう)をうばって成長(せいちょう)する。

      寄生されたカイコは、食欲や動きがなくなり、気門のまわりに黒いはん点ができる。カイコが蛹になってから、このハエの幼虫が外にはい出てくるため、ほとんど成虫になることはできない。

    • しらみだに病…カイコノシラミダニの寄生によって起こる。このダニに寄生されたカイコは食欲がなくなり、フンはじゅずのようになって、お尻(しり)につく。皮ふにたくさんのはん点ができ、からだがのびて横転し、まひしたあとに死んでしまう。

病気になったカイコを治すことはむずかしいので、カイコが病気にならないように育ててあげましょう。

そのために…

・病気のカイコや死んでしまったカイコは捨(す)てる。

もし病気になったり、死んでしまった幼虫がいたら、すぐに捨ててください。そのままにしておくと、まわりの幼虫まで病気にかかってしまう危険(きけん)があります。

・農薬や殺虫剤(さっちゅうざい)、蚊取り(かとり)線香(せんこう)はカイコにもよくありません。

殺虫剤や農薬がついたクワの葉をあたえたり、カイコを育てている近くで蚊取り線香やゴキブリ用の殺虫剤を使わないようにしましょう。

・カイコのエサはクワの葉

カイコの主なえさはクワの葉です。くわしくは“エサについて”のところを見てくださいね。

継代飼育(けいだいしいく)

昔は、誰(だれ)でも蚕(かいこ)を育てていいというわけではありませんでした。

平成10年4月1日から、自由に蚕を育ててもいいということになりました。しかし、産まれた蚕の卵からもう一度蚕を育てるには、とても注意(ちゅうい)しなければなりません。お母さんである蛾(が)が健康(けんこう)であればいいですが、病気に感染(かんせん)していると卵にもうつってしまいます。そして、その卵から産まれた幼虫(ようちゅう)は病気になり、それがどんどん他の蚕にもひろがってしまうからです。幼虫のうちにほとんどの蚕が死んでしまうほどの恐ろしい(おそろしい)病気です。

自然界(しぜんかい)には、蚕の病気の原因(げんいん)になる微粒子病胞子(びりゅうしびょうほうし)というものを持った虫がたくさんいます。一度、この病気に感染すると、防ぐ(ふせぐ)ことは難しいので、どんどん広がっていくかもしれません。そうすると、もう二度と蚕を育てることができなくなってしまいます。

人間にはうつりませんが、蚕にとってはとても恐ろしい伝染病(でんせんびょう)なのです。イタリアや、フランスなどでは、この病気が広がり、養蚕業(ようさんぎょう)が、全滅(ぜんめつ)の状態(じょうたい)になったこともあります。

お母さんである蛾を検査(けんさ)して、病気であるかどうか調べることはできます。しかし、この検査をするにはたくさんの経験(けいけん)と技術(ぎじゅつ)が必要です。私たちではかんたんに検査できないというわけです。