
まゆを作る力がなく、そのまま死んでしまうカイコもいます。 理由(りゆう)は病気(びょうき)、栄養(えいよう)が足りない、熱すぎたり寒すぎたりなどが考えられます。

カイコの幼虫(ようちゅう)の成長(せいちょう)は、温度(おんど)の高さや低さによって変わります。 低い温度で飼って(かって)いると4日目や5日目でも眠(みん)につくことができません。 眠につかないカイコにはえさをあげないといけません。

ふつうのカイコは糸を吐(は)かずに、さなぎになるのはとてもむずかしいです。 半分、幼虫(ようちゅう)で半分はさなぎの状態(じょうたい)で死んでしまうことが多いです。 しかし、中にはさなぎになるものもいます。 また、まゆを作らずにさなぎになるめずらしい種類(しゅるい)のかいこもいます。

2つのことが考えられます。
1つ目は、まゆ作りはしたけれど、幼虫(ようちゅう)で死んでしまった。
2つ目は、さなぎにはなったけれど、蛾(が)になる力がなくて、死んでしまった。
死んでしまう理由(りゆう)は病気(びょうき)だと考えられます。 気温(きおん)が高(たか)すぎたり、栄養(えいよう)が足りない場合も羽化(うか)しないことがあります。


カイコのもようは種類(しゅるい)によってちがいます。 全然(ぜんぜん)、もようがないカイコもいますし、黒いしまもようのカイコもいます。 ふつうのかいこには目のようなもようがあります。これは、敵(てき)に目と思わせてだますためのものかもしれませんが、 本当かどうかはわかりません。

カイコは、それぞれ成長する速さがちがうため、同じ日から飼育(しいく)を始めても、同じ日に全部のカイコが脱皮(だっぴ)するわけではありません。桑(くわ)のあたえかたと、与える回数・量(りょう)、桑の栄養状態(えいようじょうたい)、そして飼育(しいく)している環境(かんきょう)によって、成長の速さに差(さ)がでてくるのです。養蚕農家(ようさんのうか)はカイコを飼う(かう)のが上手なので、こういう差があまりありません。でも、学校や家庭で飼育すると、3〜5日ほどの差が出てきます。

二つの答えが考えられます。
まず一つ目の答え
繭(まゆ)の中から蛾(が)が出てくるときに、繭の殻(から)が硬い(かたい)ので、蛾は液(えき)を出し、殻をとかして、やわらかくして外に出てきます。そのときに出す液体は透明(とうめい)に近いアルカリの液です。このアルカリの液にぬれた部分は、時間がたつと、空気にふれて茶色に色が変わるのです。
二つ目の答え
繭(まゆ)から出てきた蛾(が)は、羽(はね)がのび、雌(めす)は誘引腺(ゆういんせん)を出して、雄(おす)をよびます。そして、雄は雌と交尾(こうび)をするため、動き回るようになります。このような蛾になると、茶色の尿(にょう)を出します。蛹(さなぎ)の時代に蛾になるための準備をしていて、体の中でいらなくなった組織(そしき)が分解(ぶんかい)され、尿として出されるのです。

カイコガの雌(めす)はふつう、雄(おす)と交尾(こうび)をして卵をうみます。しかし交尾ができなくても、仕方なく卵を産む性質(せいしつ)があります。
この卵は受精(じゅせい)していませんので、幼虫(ようちゅう)がかえることはありません。この卵のことを「不受精卵(ふじゅせいらん)」といいます。

蚕(かいこ)の心臓(しんぞう)である背脈管(はいみゃくかん)の脈数(みゃくすう)は飼育温度(しいくおんど)によって大きく違い(ちがい)ます。一般的(いっぱんてき)には高温(こうおん)の方が低温(ていおん)よりも脈数が多いと言われています。そして、4〜5齢の蚕よりも1〜3齢(れい)の蚕の方が脈数が多いです。21〜22℃で飼育した場合(ばあい)、3〜4齢の蚕は1分間50〜70回、5齢の蚕は40〜60回くらいです。
脈数の数え方は背脈管の近くにマジックで点をつけて、この点のところの脈数を数えるといいでしょう。二人一組で、一人は時計係、もう一人は数える係になり1分間ずつ計り(はかり)ます。何回も計って平均(へいきん)の数を見つけるといいでしょう。

カイコの糞(ふん)の数は、1日あげる桑(くわ)の量(りょう)や、桑の葉の硬さ(かたさ)などによって大きく違って(ちがって)きます。カイコが桑の葉を食べてから糞をするまでには1〜4時間かかります。稚蚕(ちさん)(1〜3齢(れい)のカイコ)はこの時間が短く、壮蚕(そうさん)(4〜5齢)は長いです。調べ方としては、1〜2頭のカイコを別の器(うつわ)で飼育(しいく)して半日ごとに糞の数を数えてみるといいでしょう。

蛾(が)は何も食べません。蚕(かいこ)の時はたくさん桑(くわ)の葉を食べますが、蛾になると何も食べません。蚕は幼虫(ようちゅう)の間に、成虫になってから生活していくための栄養(えいよう)を全部とっています。だから、蛾になってからは何も食べなくてもいいのです。蝶類(ちょうるい)は成虫になってからも、栄養をとりますので、蛾とは違い(ちがい)ます。

蚕(かいこ)は共食いはしません。大きい蚕と小さい蚕をいっしょに育てても共食いはしません。野外(やがい)にいる天蚕などは共食いをします。自然界(しぜんかい)で厳しい(きびしい)生活をしている昆虫(こんちゅう)は共食いしますが、蚕はしません。

カイコのオスとメスの違いは蛹(さなぎ)と蛾(が)の時(とき)にはっきりとわかります。蛹でいうと、メスはお腹(おなか)の部分の先が×のような形になっています。オスは点のような形になっています。そして、オスの蛹はメスよりも小さいです。蛾でいうと、メスは黄色い袋(誘引腺(ゆういんせん)といいます)を出します。オスは出しません。そしてオスの蛾はメスが近くにいるとバタバタ動き回ります。このように蛹と蛾の時はオスとメスの違いがよく分かります。
幼虫(ようちゅう)と卵(たまご)の時はどうでしょう?幼虫の時は4回目の脱皮(だっぴ)が終わった日から2日間くらいはオスとメスの違いがよくわかります。でも、それを過ぎる(すぎる)とプロでも分かりません。幼虫のお腹の部分と足の近くに白い点4個が見えるものがメスです。オスは真ん中に1個だけのスジ(2本に見えることもある)があります。卵はオスとメスの違いが分かりませんが、特別な種類には卵の色で分かるものもあります。
油蚕(あぶらこ)という種類(しゅるい)にはいつでもオスとメスの違いがわかるものもあります。

カイコの成虫(せいちゅう)、つまり蛾(が)は、大昔には飛ぶことができました。
ところが、人間がカイコを改良(かいりょう)したため、飛ぶことができなくなりました。 改良とは、大きな繭(まゆ)をつくり、長い良い糸を吐き、病気にかからない、卵をたくさん産むカイコにすることです。すると、カイコの身体(からだ)は大きくなり、筋肉(きんにく)の力がなくなり、飛ぶことができなくなりました。
「人間に改良されて、飛べなくなってしまった昆虫」になってしまいました。

カイコのほかにも繭(まゆ)を作る昆虫(こんちゅう)はたくさんいます。カイコに近いクワコは、桑(くわ)の木や桑畑の中などで見かけることがあります。繭はカイコよりも小さく、うすい黄色をしています。形態(けいたい)や生活史(せいかつし)はカイコとよくにています。
やはりカイコに近いヤママユガは、雑木林(ぞうきばやし)でくぬぎやかしの葉を食べて、緑色のりっぱな繭を作ります。カイコと同じように繭を作りますが、形態や生活史はずいぶん異(こと)なります。
このように野外にいるカイコの仲間たちを「野蚕(やさん)」、養蚕農家(ようさんのうか)で飼育(しいく)されているカイコを「家蚕(かさん)」とよびます。

カイコは、長い間、人が飼(か)いならした昆虫で、現在(げんざい)では野生にかえることはできません。なぜなら、幼虫(ようちゅう)の足は物につかまる力が弱くなっているために、雨や風によって桑から落ちてしまいます。また、成虫(せいちゅう)の蛾になっても飛(と)ぶことができないため、交尾(こうび)相手を見つけることができないからです。

げんみつに言えば、ちがっています。カイコは、シャ(ハリグワ)、コウゾ、カジノキ、カカツガユなど桑科の植物のほか、ツリガネニンジン、セイヨウタンポポなどを食べることが知られています。しかし、カイコは狭食な昆虫で桑の葉以外(いがい)のものでは、じゅうぶん成長(せいちょう)できません。

人工飼料は、桑の葉の粉末(ふんまつ)に大豆の粉やでん粉、砂糖(さとう)などをまぜて、寒天でかためて作ります。ですから、人工飼料にも桑の葉が入っています。
人工飼料を使うとカイコを清潔(せいけつ)な環境(かんきょう)で飼うことができ、病気を防(ふせ)ぐことができます。また、桑のない時期にカイコを飼育することもできます。
しかし、人工飼料は値段(ねだん)が高く、カイコを飼う費用(ひよう)がかかります。人工飼料の値段が高いのは、カイコが食べるものだけを選(えら)ばなくてはならないこと、桑の葉の粉末も値段が高いからです。
最近、研究がすすみ、桑の葉を含まない人工飼料もできています。

最近(さいきん)、りんご、すいか、カステラなど、何でも食べる広食性(こうしょくせい)のカイコが品種改良(ひんしゅかいりょう)によって作り出されました。カイコは口の横にあるひげの先(さき)で味を感じますが、広食性のカイコは、このひげの感覚(かんかく)がにぶくなっているので、桑以外のものを食べることができるのです。
しかし、りんご、すいか、カステラなどばかり食べて大きくなるわけではありません。

カイコは、5齢期(ごれいき)に、一生に食べる桑の葉のやく90%を食べます。ですから、桑の葉にふくまれているタンパク質(しつ)を、5齢期には体の中に取りこみすぎてしまいます。このよぶんに取りこまれたタンパク質は絹糸腺(けんしせん)にたくわえられますが、これを体の外に出さないと変態(へんたい)ができません。そのため、取りこみすぎたタンパク質を糸としてはき出して、繭を作り、その中で蛹(さなぎ)に変態していきます。

どうしてなのか、その理由はっきりしませんが、いくつかの説(せつ)があります。そのひとつを紹介(しょうかい)します。カイコが牛や馬、羊などの家畜(かちく)と同じように、人間にりえきをもたらしてくれるので、小さな虫でも大切さの意味をこめて「頭」を使ったのではないかと考えられています。

例外(れいがい)があるので、全てをはっきりと区分することはできません。蝶と蛾の区別(くべつ)は、下の表を参考(さんこう)にしてください。
| チョウ | ガ | |
|---|---|---|
| 活動時間 | 昼間 | 夜間のものが多い |
| 止まっているときのはねの状態 | はねを立てとじているものが多い | はねを水平に開いているものが多い |
| 触覚(しょっかく)の形 | さきのふくれた棍棒状(こんぼうじょう) | くし状、糸状、羽毛状(うもうじょう)が多い |
| 産卵(さんらん)の習性 | 1ヵ所に1個(こ)ずつうみつけるものが多い | 1ヵ所にかためてうむものが多い |

1本からできています。1頭のカイコのはき出す糸の長さは、およそ1300mあります。長いものは1500mをこえるものもあります。

一生のうちに2回だけします。1回目は、繭を作る直前にします。カイコは繭づくりのはじめに、体の中のいらないものを、糞(ふん)やおしっことして出します。2回目は、蛾になった直後にします。蛹(さなぎ)から出るとすぐに茶色の蛾尿(がにょう)を出します。